♪ Crazy / Gnarls Barkley
約3年前のあの日、私はまさしく正気を失っていた。医師に告げられた突然の診断。それは私に一生付きまとうものだった。取って付けたような笑顔の医師に色々と励ましの言葉をかけられたが、耳に入ってこなかった。薬を処方され、受付に響く私の名前。ああ、私を呼んでいる。これが現実なのか。
薬局を後にし、まるで寝起きのようにぼーっとしたまま電車に乗った。頭の中に靄がかかっていた。何も考えられなかった。
電車を降り、ホームに着いた瞬間に突然歩けなくなった。大雨の後に川が氾濫するように、堰き止めていた感情が一気に溢れて来たようだ。
全てが狂っている。この身体も、こんな薬も、今の生活も、過去の傷も、もう全てが。自分を取り巻く様々なしがらみが浮かんでは消える。それらが自分を狂わせ、嘲笑っている。きっと自分はcrazyにまみれ過ぎているんだ...。
"Maybe I'm crazy
Maybe You're crazy
Maybe We're crazy
Probably "
狂気の渦の中、私は正気を保つことなんかできるだろうか。でも、自分でも薄々分かっている。もう侵食されつつあるってこと。後戻りなんかできないってことも。