♪ By the way / Red Hot Chili Peppers

日曜の午後、コンポから流れるのは決まってこのアルバムだった。それは母親の特別お気に入りの一枚だった。少し鼻声がかったアンソニーの歌声に合わせて、フリーのベースが存在感を示すように唸る。のどかな田舎の休日の午後には、不似合いな曲だったかもしれない。でも、それが私と母親の日曜の過ごし方だったし、日常だった。

彼女は一見大人しそうでロックとは無縁のような女性だ。でも、根っからのロック好きというから面白い。そのギャップが彼女の魅力の一つであり彼女らしさであったと思う。ロック好きの遺伝子は娘の私に見事に受け継がれているから、やっぱり血は争えないな。

14年前にBy the wayが流れていた家は、家族が揃っていた最初で最後の家だった。母親がこの曲を流す日曜の午後。穏やかな日々では決してなかったけど、ささやかな安息が得られる時間だった。